歌と歌詞の関係

歌には歌詞が付いていて(無いものもありますが)、これが歌を他の器楽演奏とは違う、極めて特殊なものにしていると思います。

歌が音と歌詞で成り立っている以上、両者の関係はとても重要なものになるでしょう。例えば同じメロディーを歌う場合でも、歌詞が明るいものとシリアスなものとがあれば、曲調はやはり変わってくると思います。

歌詞はまた、フレージングにも大きく影響します。歌詞のまとまりの途中で切ると変な感じになるからです。また、言語の違いも演奏の仕方を左右すると思います。下の譜例を見てください。

izatate ja

 

無伴奏合唱曲として有名な、「いざたて戦人よ」冒頭です。歌詞が音に自然に乗って、良い感じですね。

今たまたま手元にある楽譜(新選混声合唱名曲集1 教育芸術社出版)には、日本語の歌詞に合わせて英語の歌詞も載っています。書き直したものを示します。

izatate en

 

日本語の歌詞で歌うのに慣れていると、初めてこの歌詞で歌うのに違和感を感じるのではないかと思います。ここでは特に「of salvation」ですが、実際の発音では「o – of sa – al – va – tion」となり、楽譜上の1音と歌詞の1音が対応している日本語とはちょっと違いますね。また最後の「Head」のバスですが、歌うと「he – e – e – ed」となります。別に悪くは無いと思いますが、「つ づ け」と発音できた方が爽快感はある気がします。

曲全体を通して、この譜面は日本語で歌うために調整して書かれているものであり、マクグラナハンが最初に合唱用として書いた楽譜は音型がちょっと違ったのではないかと想像されますが、残念ながら手元に原曲の楽譜がありませんので正確なことは言えません。

結局何が言いたかったかというと、この例では、この譜面のままで英語の歌詞を付けて歌うのは何か違うのではないか、ということです。そして一般に、歌詞が変わると歌い方も変わる場合があるから注意、ということでした。

因みに「いざたて戦人よ」ですが、これは元々歌詞はドイツ語だったようです。

 

 

帰国日が決まった

ようやくスリランカから日本に帰る日程が決まりました。3月末です。
今も 練習ができない時にはどうするか で書いたような基礎練習はやっていますが、制約はあっても楽器が弾ける環境に戻れるのはありがたいことです。
帰ったら早速何をしようかと色々考えていますが、とりあえず練習に使っていた合唱曲を何曲か録音してみようかと思います。
ピアノはまた弾けなくなっているのではないかと思うと怖いですが。
しかしまだ日数があるのでそれまでは辛抱です…

ロングトーンの練習

歌の練習に、ロングトーンを取り入れることにしました。

ロングトーンというのは、その名の通り長い音を出す練習ですね。これは音を安定させるのにとても良い練習で、歌に限らず息で音を出す管楽器を扱う多くの人が練習に取り入れていると思いますが、ヴァイオリンやチェロなどといった弦楽器でもやったりします。弦楽器の場合は息で直接音を出すわけではありませんが、弓の使い方が歌の場合の呼吸のようなものなので、そのコントロールを習得することも重要なわけです。一方ピアノなどではあまりロングトーンの練習をしているという人は聞きませんね。鳴り続ける音をコントロールする方法に乏しい(無いとは言いませんが)ので、他の練習に比べて重要性が低いのでしょう。

歌に対するロングトーンの効用

・息のぶれが改善され、安定する

・音程の揺れが改善され、安定する

・良いウォーミングアップになる

・曲を歌っているだけではなかなか気付かない、響きの確認をする機会になる

・自然な発声の習得に繋がり、声量と響きの獲得に効果がある

他にも色々あると思います。

ロングトーンの練習方法

日々行うロングトーン練習のルーティーンは色々考えられますが、私の場合音程と強弱の変化もつけたいので、ちょっと欲張って、スケールと強弱を同時に取り入れることにします。使う音域は今後広げていくことにして、まずは1オクターブでやってみます。

long tone 1 up

母音も各種入れたいところですが、ここでは発音の練習までは入れないので、口を少し楽に開いた状態でアとオの中間くらいの音にします。試にやってみたら、音は伸びないし揺れるしで、散々でしたが…

できないことをできるようにするのが練習です。まずは上記を練習の最初と最後に1回ずつ、取り入れようと思います。

新しい曲との出会い

この10年くらい、知っている曲の数が殆ど増えていないように思います。流行曲というのも限られていますし、昔の曲でよく利用されるものは大抵有名で既に良く知っているので、そう多くは新しい曲と知り合えないんですよね。

自分が今まで知らなかった曲を探すときは、ネットで演奏を色々物色してみるのでも良いですし、演奏会に行ってみるとか、楽譜を漁ってみたり、楽団とか何らかのグループに所属したり他の愛好家との交流でも何でも良いのですが、何かしらやっていないとなかなか幅が広がらないように思います。

それでも個人が知っている曲というのは膨大な量があるので、ごくごく一部だけでも十分色々なことができ、それで満足できればそれはそれで結構なことだと思います。個人的には、自分が好きになるであろう曲がまだまだたくさんあるだろうから、開拓はしていきたいと思います。

自分にとって初めて聴く曲、新しい曲の楽しみ方というのは色々あると思うのですが、全体を聴いて好きとか嫌いとか印象を持つだけでも構わないと思いますし、ちょっとマニアックな感じにこの音型は(自分にとって)斬新だとか、そういった楽しみもあると思います。

最初に聴いた時にはそれ程感じなくても、繰り返し聴いている内にどんどん好きになってはまって行く曲というのも結構あります。バッハのゴルトベルク変奏曲とかはそうでした。

合唱団を組織した頃の話

昨日の記事 合唱の音とりのしかた を書いて、昔のことを思い出しました。中学卒業~高校1年の頃、知り合いを集めて合唱団を組織したのですが、その時の話です。

アカペラの曲をやるのに、音とりは各自で事前にやっておくことにしていましたが、そのために440Hzの音叉を1本ずつ渡して、音程練習はこれだけでやること、と言う無茶な要求をしていました。

問題は練習の進め方のみならず、当初から見込みのありそうな知り合いを片っ端から当たっては「明確に断らなかった」人を強制的に入れると言う詐欺まがいの勧誘をしていましたし、意見・要望が出されないことを良いことにやりたい放題我儘を通していました。

私は常日頃より自分を基準に物事を考える悪い癖があり、今でこそ多少まともにはなったようですが、当時は強烈でした。自分にできることは他人に要求して当然と考えていましたし、自分が楽しいことは他人も同じかそれに気づいていないだけと思い、とにかく何でも強制していました。

当然上手く行くはずもなく、作った団体は半年くらいで解散したと記憶していますが、今思い返すと苦い思い出と同時に色々な教訓があって勉強にはなったと思います。

人に依ってバックグラウンドやスキル、取り組むスタンスややる気、方向性が異なるのですが、音楽に限らず2人以上が共同して何かに取り組む際にはこれをいかにまとめて方向づけて行けるかということが重要です。長期間取り組む際には尚更、この点を気を付けなければ上手く行かないと思います。

piano, chorus, ensemble…