連休中に録ってみた合唱曲を聴きなおしています。歌についてはパートごとに歌い直せば良いのですが、ピアノ伴奏のテンポがちょっと速いように感じるところが多く、これは伴奏から再度録り直した方が良いかと思います。伴奏を録る時にはメトロノームで確認する必要があるかも知れません。
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シャンティクリアのCD
帰国しました
予定が少し早まり、今日帰国しました。これでようやくピアノも弾けるし楽譜漁りにも行けるしで、気分るんるんです。
あれもこれもと色々やりたいことはありますが、まずは最近練習に使った合唱曲を録音してみようかと思います。練習したと言っても各パートを一通り歌っていたという程度ですが。
①ひとつの朝
②大地賛頌
③海はなかった
④七つの子
⑤いざたて戦人よ
⑥君が代
4月中を目標に、録れたらアップします。
これから荷物整理ですが、練習は…
明日からですかね…
合唱曲「海はなかった」解説 その2
続いて歌詞の解釈を考えます。
ます歌詞を引用します。
合唱組曲「海の詩」より第1曲「海はなかった」
作詞 岩間芳樹 作曲 廣瀬量平
(以下、「海はなかった」歌詞全文掲載予定)
歌詞は以上です。
海を前にした若者が、空に飛び立てないまま死んで行ってしまった鳥たちに自分を重ねて思いを馳せている、そんな場面です。
暗い海と厚い雲に、希望を見出せない現実や社会を対比させています。
夏の旅人の髪飾りというのはこの鳥の羽ですが、若者にとっては自分の生きた痕跡(あしあと)ということになります。
詩に物語性があるので、情景は比較的思い描きやすいですが、象徴されるものと対比については解釈が色々あるかも知れません。
入り江は寂しく、ふたりの他には何もおらず、そこで白い羽を見つけます。
光にかざして鳥の生きていた過去、終わってしまった夏を思います。
人生を謳歌できるべきなのに、それができない現実。
名も無い鳥の生きた痕跡である羽を墓標に、浜辺にお墓を作ります。
公害のことを歌っているのだ、ということが時々言われるようです。
確かに1960年代には水俣病に代表される海の公害をはじめ、作詞された頃には岡山のコンビナート重油流出事件などもあり、「海は鳥たちのまばゆい記憶を汚して消した」という部分を公害と捉えることもできるのですが、
それでもそれは曲のテーマではなく、テーマはあくまでも希望を見出せない若者のやるせない思いということだと考えています。
また、「ふたり」で浜辺に砂のお墓を作るということから、この2人の恋は終わってしまって、だから主人公は絶望しているんだという解釈も聞きますが、この雰囲気が失恋の歌であるとはどうも思えません。
作詞者によれば、都会へ出た後過疎地へ戻ったものの居場所が見出せない若者のエピソードからインスピレーションを受けたそうで、これは組曲の4曲目「海の匂い」にもっともよく表れているように思います。
組曲を通してのテーマは海を前にした人間の思いで、第4曲目までは自由に生きられないことへのもどかしさと絶望ですが、最終曲でようやく希望を歌います。
合唱曲「海はなかった」 解説
気が向いた時には、楽曲の紹介をして行こうと思います。
今回は混声合唱組曲「海の詩」より第1曲「海はなかった」をみてみます。
ちょっと長くなりそうなので、
1、作品概説
2、歌詞と背景の解釈
3、演奏メモ
の3部構成にしようと思います。
まずは1、作品概説です。
混声合唱組曲「海の詩」より第1曲「海はなかった」
作詞:岩間 芳樹 作曲:廣瀬 量平
この曲は元々、昭和50年(1975年)のNHK全国学校音楽コンクール高等学校の部の課題曲として作曲されたものです。
その後、4曲が作られて混声合唱組曲となりました。第2曲~第5曲は後に松平敬氏により編曲され、男声合唱版(2007年初演)、女声合唱版(2010年初演)が出版されています。
組曲として根強い人気があることが伺えます。
混声・男声・女声と出版されている合唱組曲は、意外と多くはないものです。
もっとも人気があっても、曲調が合うかどうかという理由で作られないものもあると思います。女声版「月光とピエロ」とか違う気がしますし。
話が逸れました。
組曲の構成は
第1曲 海はなかった
第2曲 内なる怪魚 シーラカンス
第3曲 海の子守歌
第4曲 海の匂い
第5曲 航海
となっていて、
第2曲「内なる怪魚 シーラカンス」は合唱としては少々特殊な音を使う(楽譜を見れば一目瞭然です)ことと、第3曲「海の子守歌」は歌詞が無くソロが長いということもあって余り耳にしないようですが、他3曲は独立して演奏されることが多く、中学・高校でも頻繁に取り上げられるようです。
「海はなかった」に話を戻します。
曲を通して重苦しく暗い雰囲気が続きますので、暗く美しい曲が嫌いな人には残念ながらおすすめできません。
衝撃的で不気味なピアノの前奏から始まり、一段落した後に女声から合唱が動き始めます。
この合唱の音型はとても素直で美しく、フレーズを歌うことが大切になります。
中間部は男性から歌い始め、海の残酷さを表現します。
その重厚な雰囲気は盛り上がりを見せ、再び最初のテーマに戻り締めくくられます。
おすすめの演奏:
福島県立安積女子高等学校
指揮 渡部康夫
発音の繋がりが自然で、聴いていて心地よいです。
http://www.youtube.com/watch?v=e6ry4A8IKDw